令和4年度のデータベーススペシャリスト試験に独力で合格したので、何をやっていたのか記録に残しておきます。
1. 購入した試験用の書籍
- 徹底攻略 データベーススペシャリスト教科書 令和4年度(紙媒体)
- うかる! データベーススペシャリスト 2022年版(電子媒体)
ネットワークスペシャリストと同様、一通り頻出範囲に触れられる書籍があった方がいいです。2冊持ち歩くのは重いので、三好先生の本は電子版にしておきました(Amazonのセールなどお得な時期に買ったはず)。ウォーミングアップで応用情報のデータベースの問題を用意しておくのもいいでしょう。資料不足にならないかと不安になり買って積読にした書籍もありますが、最初に挙げた2冊があれば何とかできます。試験対策以外では「楽々ERDレッスン」という書籍を読んでました。TACやiTECなどが提供する試験対策の講座や模試は受けてないです。
2. 試験対策
最初に概念設計と物理設計のどちらをメインに勝負するかを決めます。情報収集した結果、物理設計よりも概念設計の方が問題の幅が狭いらしいので、概念設計を中心に解くこととし、午後Iは概念設計とSQL、午後IIは概念設計を選択するということにしました。学習方法は徹底攻略 データベーススペシャリスト教科書を一通り読んだ後で、うかる! データベーススペシャリスト 2022年版の付録の過去問を片っ端から解いてました。三好先生のテキストは本文よりも付録の過去問解説が重要な資料です(平成16年度以降のすべての過去問に解説がついてる)。概念設計はお絵かきになるので、ダウンロードした解答用紙を印刷して練習しましょう。データベースは仕事でほとんど使っていないので、三好先生の本は概念データモデルのビジネスモデルの箇所が分かりにくかったです(なので読むにしても少し学習してからの方が良い)。
三好先生の書籍についている付録の解答用紙を使って、午後Iの平成16年度から令和3年まで1.5周ほど解きました(延べ70~80問ぐらい)。一方で午後IIは概念設計を3問程度しか解いてないです。IPAの講評で正解率が高いとされた問題を選び試験1か月前に解いて7割強とれていたので、難易度が低めの出題なら勝算はあるなという感触はありました。逆に難易度が高めの平成31年度のパン屋の問題は最後まで手が出ないような状態でした。午後Iの演習でE-R図の矢印の引き方(ex. 外部キーで自身と同じエンティティを複数参照する場合に、自身から自身へ2本以上矢印を引くことがある。その他にもH27午後1の問1設問2で工程からバグに3本矢印がひかれる設問があった)と、業務分析の文章からサブタイプとスーパータイプの関係を見抜けるようになる訓練が必要でしょう。令和4年度の問題だと午後Iの問1でFAQからeのエンティティに向かって矢印を2本引きますが、そのようなE-R図に見慣れておく必要があります。応用情報技術者試験でデータベースを選択できる程度に得意な分野にしていたのであれば、300~350時間程度の試験対策で合格に近いところまで行けると思います。
なお、基本情報や応用情報でデータベースを得意科目にしてHAVING句やGROUP BY句のような基礎を省くことができる場合は、午後1でSQLを選択すると少し学習コストが低くなります。試験の難易度が上がってもSQLはそこまで聞かれることの程度は変わらないです(基本情報ではカーソルが出題されたのは見たことがなく、少しは学ぶ必要があるのでSQLの学習コストがゼロになるわけではない)。
3. 令和4年度の試験の感想
- 午前1:パスなのでノーコメント
- 午前2:過去問使いまわしの試験なので簡単に落ちてはいけない。間違えたのは問9(初出?)と問20(H29の情報セキュリティマネジメントに類題あり)。
- 午後1:最初の問題選択の数分でいつもと雰囲気が違うと直感。迷ってても時間のムダなのでとりあえず予定通りに概念設計の問1を選択。アルファベットの略語が多くて頭に入らず都度問題を読み返す必要があるのと、関係の名称をa~fで隠すので読みにくい(a~fの名称を書くと簡単になるから伏せているのだろうけど)問題でした。時間を取られやすく難易度は昨年の問1よりもやや高いのではないかと思います。問1を一通り埋めた時点で50分経過。次の問題はいつもはSQLは問3なんだけど...と思って残りの2問のタイトルを読むと、問3は実装と性能、問2は実装となっており、性能は物理設計関連なので避けた方がよいと判断し問2を確認。問題文を流し読みするとSQLの設問があるのと、ITサービスマネージャで学んだRPOなどの用語を見かけたのでそのまま解くことに決定。令和2年度午後I問2では類題としてレプリカの問題もありましたし、DBに限らず運用管理の経験が少しでもあれば6割の得点は比較的容易で、難易度は高くはないでしょう。ただし、個人的には昨年の問3は簡単な部類なので、それよりは少し難化しているように見えます。2年ほど前に受けたOSS-DB SilverのおかげでトリガーのBEFOREやAFTERが浮かんだので、簡単な資格からの積み重ねも軽視してはいけませんね。
- 午後2:概念設計なので迷わず問2を選択したものの、関係スキーマの穴埋めがなくて困惑。10ページにわたる業務分析とE-R図で、仕様を素早く把握する読解力と思考力を試そうとしている印象を受けました。E-R図の矢印を引くのと関係スキーマの属性名を埋めるばかりの問題よりは、技術者の技能を測るのに良いと思います。問題は大きく変化していますが解答には当たり前のものも含まれており、昨年度の午後IIの概念設計からはわずかに難化の程度でしょうか。
5. 結果
午前1:パス、午前2:92点、午後1:90点台前半、午後2:70点台後半。解答例を読む限り、午後Iは少なくとも5箇所は誤答しているはずなので、午後の点数は下駄を履かされているんじゃないかなと思いましたし、あの程度の回答で合格するんだという印象です(個人的には午後Iは70点前後、午後IIはボーダーラインに届くか怪しいと予想していた)。思考量は多いですが、2時間で2000字以上書かないとまず合格にならない論述試験よりも手を動かす量が少なくかなり楽です。当初は2020年春に1回目を受けるつもりだったのですがコロナで中止となり、さらに受験は控えてというIPAからの指示に従い2021年も受けないでいたら、2022年の秋までずれ込んでしまいました。ただ、準備は何年も前から少しずつできていたので一発合格に辿り着けたのだと思います。合格は遅くなってしまいましたが、それもまた人生ですね。
6. 難易度について
これまでにIPAのスペシャリスト試験3区分に合格したのですが、体感した難易度は ネットワーク >>> データベース > セキュリティ(旧試験区分) でした。
- ネットワークは年1回で午後IIは新技術を題材にしてくることが多い上に暗記量が他の2区分より多い。私が受験していた頃のOpenFlowなんてやってる職場は少ないでしょう。
- データベースは年1回で文章読解力(業務分析の理解速度)と論理的思考力が求められる。暗記量がネットワークよりは少ない点はラク。午後の問題のページ数はセキュリティと同等かそれ以上です。文章をE-R図や第3正規形に落とし込むのはパズル的な要素が強い。
- セキュリティは年2回受験可能で技術よりも国語の問題になっている割合が高く、技術知識がなくてもその場で考えて答えが出せるものがある。セキュリティ人材と言える頭数を増やすために(政府が目標に掲げている)意図的に合格率を上げているのではないかと推測してます。
0 件のコメント:
コメントを投稿